イベリコ豚専門店イベリコ屋です。
イベリコ豚はもちろん、 生ハムの情報や、スペインの歴史、旅に関する【お役に立てる情報】を配信していきます。
イベリコ豚から作られる生ハムは製法、餌と飼育法、血統によってその価値が決まります。 そのためイベリコ豚を原料としたハモンイベリコを食す際は、紹介した3つの要素(製法、餌と飼育法、血統)のランクによって大きく味が異なることを知っておかなければなりません。
スペインでは2014年にハモン・イベリコのランク分けについて改正があり、最高級のものから、黒・赤・緑・白の色ごとにラベル分けがなされることとなりました。
今回はイベリコ豚のランクによって味がどのように変わるのかをお伝えします。
■イベリコ豚のランク
スペイン政府の認定規格では、血統100%のイベリコ豚だけではなく、イベリコ豚の血統50%以上のものはすべてイベリコ豚と呼ぶことができると定められています。 ※純血種(イベリコ・プーロ)とイベリコ種50%以上の交配種(主としてデュロック種との交配)が認定されています
またイベリコ豚は血統だけではなく、飼育方法や餌もランクの判定基準要素となります。
□レアル・ベジョータ® レアル・ベジョータ®とは次に紹介するベジョータの中でも選りすぐられたイベリコ豚を指しイベリコ豚の原種100%である(混血種ではない)ことが絶対条件。
最高ランクの中でも最高・特別なこのイベリコ豚生ハムは、スペイン王室にも献上されるほど。イベリコ豚の中でもたった2%しか存在しない大変希少価値の高い豚です。
その味わいには、今までの生ハムの概念を覆すほどの濃厚なコクが特徴です。口の中で融解し広がる脂の旨味は、新たな生ハムとの出会いを知らせるものとなるでしょう。 食べた人のみぞ知る特別な味わいです。
□イベリコ・デ・ベジョータ(Ibérico de Bellota) ベジョータ(Bellota)とはスペイン語で”ドングリ”を意味します。 イベリコ・デ・ベジョータは下記の条件を満たした豚のみ与えられるランクです。
- 2ヶ月齢程度のイベリコ豚(体重92〜115kg程度)かつ10月1日から12月15日の期間に樫の林で放牧されている
- 放牧期間中に体重が最低46kg以上の増加が認められる
- 1ヘクタール当たり2頭以下の密度で放牧されている
- 枝肉の最低重量が、交配種で115kg、純血種で108kgを超える
- 放牧期間中は、ドングリなどの自然の産物のみを飼料とし、補助飼料を与えられていない
- 屠畜時期が12月15日〜4月15日の間
- 屠畜の最低月齢が14カ月を満たしている
上記条件を満たした正真正銘のハモン・イベリコ(Jamón Ibérico生ハム)には規格を示す色別の品質表示タグが付いています。 中でも100%イベリコ純血種のベジョータには黒いタグが付けられます。(交配種には赤いタグがついている)
イベリコ・デ・ベジョータの味の特徴はなんと言っても口に含んだ時に広がる奥深い旨味と特徴的な香り。純血種は霜降りが少なく、イベリコ豚本来の濃厚な味わいを堪能することができます。
常温で溶ける脂はイベリコ・デ・ベジョータならでは。 口の中で溶ける脂によってナッツの香りがする甘みが口の中に広がり、独特な風味をお楽しみ頂けます。
□イベリコ・デ・セボ・デ・カンポ(Ibérico de Cebo de Campo) イベリコ・デ・ベジョータの次のランクに位置するイベリコ・デ・セボ・デ・カンポ。 イベリコ・デ・セボ・デ・カンポの条件は下記の通り。
- デエサに放牧され、どんぐりなどの天然飼料だけではなく穀類や豆類ベースの配合飼料も同時に与えられる
- 1頭あたり100平米以上の屋外または部分的に屋根のついた農場で肥育されている
- 枝肉の最低重量が、交配種で115kg、純血種で108kg。
- 屠畜の最低月齢が12カ月を満たしている
- 野外での飼育開始時期の平均体重が92〜115kg程度である
- 餌場が水飲み場から100メートル以上離れている
- 1ヘクタール当たり15頭以下の密度で放牧されている
イベリコ・デ・セボ・デ・カンポのランクのイベリコ豚から製造された生ハムには、緑色のタグが付けられています。
イベリコ・デ・セボ・デ・カンポも繊細さ、濃厚な味わい、しっとりとした食感を持つ生ハムです。イベリコ・デ・ベジョータと比較して脂が控えめであっさりとした口あたりです。 赤身に閉じ込められた旨味がじわじわと口の中に広がり、ベジョータとは違った味わいを楽しむことができます。
□イベリコ・デ・セボ(Ibérico de Cebo) イベリコ豚生産量の約9割がこのセボというランクに該当します。
- 1頭あたり2平米以上の農場で穀類や豆類ベースの配合飼料を中心とした餌で肥育されたイベリコ豚
- 枝肉の最低重量が、交配種で115kg、純血種で108kgを超える
- 屠畜の最低月齢が10カ月を満たしている
イベリコ豚=ドングリを食べて育つというイメージが強いですが、実は約9割のイベリコ豚がドングリで肥育するのではなく、穀類や豆類ベースの配合飼料を中心とした餌で肥育されています。 セボとはスペイン語で飼料を意味します。イベリコ・デ・セボから製造された生ハムには、白色のタグが付けられています。
ドングリを食べているイベリコ・デ・ベジョータ、イベリコ・デ・セボ・デ・カンポの濃厚さに対し、イベリコ・デ・セボはもっとすっきりとした味わいです。 ランクだけでみると肉質含め他の2つに劣るイメージを持たれてしまいがちですが、イベリコ豚ならではの旨味とあっさりとした食べ口は隠れたファンも多いとか。
イベリコ・デ・セボの中でもどんぐりのシーズンを外して放牧され、与えられた穀物飼料のほか、自生する牧草や香草なども食べたセボ・エクステンシーボ(Cebo Extensivo)、豚舎の中で与えられた飼料のみで肥育されるセボ・インテンシーボ(Cebo Intensivo)の2種に分けられます。 同じセボの中でも飼育環境によって肉質の違いを楽しむことができます。
ハモン・イベリコのような高級食材は価格や商品名だけで購入してしまう方もいるかもしれません。 しかし今回ご紹介したような正しい知識を得た上でその表示を認識することができれば、類似品との区別を的確に行うことができます。 またイベリコ豚のランクにはそれぞれの良さがあります。正しい知識があれば、シーンや個人の嗜好に合わせ適切な選択ができるでしょう。
ぜひご紹介したランクを参考に、イベリコ豚の中でも食べ比べを楽しんでみてください。
贈り物や、自分へのご褒美にぜひ
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